まあ、会社員の営業として会社の経費や手土産はあるかもしれないが、贈り物って結構難しい。
木彫りの熊の置物を送っちゃうような人はちょっとセンス的に問題を感じるし、飲み屋の女の子の誕生日にケーキを持っていくのもこれも結構分かっているようで分かっていない。
しかもどっかの有名店の手に入りづらいケーキとかならまだしも、不二家とかコージーコーナーで買うようだと結構先行きが暗い。
贈るべきは物のあるようで、実は違っており体験だったり経験だ。
不二家やコージーコーナーが悪いというわけじゃなく、いつでも体験できる体験は有難みを感じさせず喜ばれない。
それ以上に、想像力が不足していると思うのが、飲み屋の女の子はいろんなお客さ名から誕生日を祝われるのでケーキを持っていくのは自分だけじゃない。
ホールの不二家のケーキを3つとかもらったら、自分だったらどうするだろうか?
食べきれないし、大人の男性が近所にそれを配りきれるとも思えない。
つまり、捨てるしかなく結構有難迷惑になるのだ。
だからこそ、飲み屋にプレゼントで持っていくなら酒も持ち込みになってしまうので持ち込み料がかからないとそれも迷惑だし、甘い物ばかり食べるわけではないのでケーキtかもっていっても喜ばれない。
それだったらつまみになる美味しいしょっぱい系の物の方が喜ばれる。
お店終わった後にちょっとお腹を満たすのにいいやつとか。
情報収集と相手への想像を求められるので贈り物って難しいよなと思うのだ。
そんななか、うちの飲食店の常連でちょっと色々善意をいただきすぎたお客さんがいて、何か返さなきゃなと思っていた。
ただ、お酒を大量に飲むタイプでもなく、感情の振れ幅が大きいタイプ。
好悪の最大値が両方とも激しすぎるため、一歩間違えれば可愛さ余って憎さ100倍状態になる。
けれども、好意があるうちはとことん尽くしてくれそうな還暦くらいの姉さんなのだが・・・
だから多分、いつか揉めるだろうなと思っていて怖い。
スイッチの切り替えはどこで行われるか分からないからだ。
ただ、そうなる可能性がそれなりにある覚悟があるので、そうなったら飲み込むしかないとは分かっているのだが。
寄生獣の漫画の別の視点からの漫画で寄生獣リバーシという漫画があるんだが、これ自体は言うほど面白くはなかったけれども冒頭だけやたら印象に残っている。
女性についての考え方でなるほどなと思わされたやつだが・・・
女性ってのは好きと嫌いが常に競争するように横に伸びていき、嫌いが好きを上回るスピードで抜いてしまった時・・・
その時に手のひら返しをするかのように急に冷たくなるという話だ。
的を射ているなと思った記憶がある。
競馬場で好きという逃げ馬は嫌いという差し馬に差されちゃならないってことだ。
まあ、そんなわけで、冷静な言い方をしてしまえば、この姉さんにやってもらっていることを俺の当たり前にしてしまうと、多分嫌いに差されるなと思ったので、ちょっと好きという逃げ馬に鞭を打たなきゃならないと思ったのだ。
シンプルな言い方をすれば気持ちのお返しをしなきゃなと。
で、何を返すべきか
多分、物はいらないと思うんだよな。
いや、もちろん知らない絶品の食べ物でもいいと思うんだけれども、必要なのは物を送った効果であって、ただ物を送るってのは手数を欠いている分大して伝わらないんだよな。
だとしたら、物を送ってはい終わりではなく、普通ではできない体験を送るのが一番感情の起伏が激しい相手には響くんじゃないだろうか。
ということで、それなりの予算を使い、いつも行っているバーテンダーにお店を、週末にも拘わらずカクテルを作っているその間休んでもらって出張バーテンダーをお願いし、うちの店でフレッシュのカクテルを贈ることにした。
多分、響くと思うんだよな。
まあ、その後返礼が来そうなのが怖いが、これで好きという逃げ馬のリードを広げたい。
そんな事を思っている。