老人乱舞の朝

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神奈川県社会人競馬サークル
さて、これは前々から考えていた事ではあったんだけれども・・・・ 今回の父の通夜で絶対にやろうと決めたのだ。 私は、社会人競馬サー...
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2024年11月24日の日曜日 ジャパンカップの日に神奈川県社会人競馬サークルを開催します。 詳細はこちらから、11月14日までに参加希望の方はご連絡ください。
さて、表題の通り今年も秋の社会人競馬サークルを開催します。 日時は2024年11月24日のジャパンカップの日になります。 場所は...

午前5時・・・・

私の携帯電話が鳴る。

NEETな私は起きていた。

退廃的といっても過言ではない自覚はある。

電話の主は泥酔していた。

酔っ払って私を起こしてやろうと思っている悪意しか感じない。

私への挑戦状だな・・・

私はそう受け取った。

私は気付かなかったのだが、聞けば、午前4時にも私にかけてきたらしい。

6度もっ!!

・・・

私の子供じみた闘争心に火がついた。
こんな時間に電話をかけてきた責任は取ってもらわねばなるまい。

すべては自己責任。

おそらく・・・・
電話の主は私が勘弁してくれと泣き言を言うと思っていたのだろう。

しかし・・・・

私は逃げない。

以前に聞いた某超有名アニメの名台詞が頭にリフレインする。

逃げちゃ駄目だ。逃げちゃ駄目だ。逃げちゃ駄目だ。

私は静かに口を開いた。

繰り返しになるが、時刻は午前5時である。

よし、いまから公園飲みだ!!と。

相手は非常にうろたえた。

しかし、自分からこんな時間に電話を掛けた手前・・・

彼は断る術を持たなかった。

かくして、平日の午前5時半・・・

私たちはコンビニで落ち合うと、酒を買って公園へと向かった。

彼はすでにグロッキー寸前だ。

すでに蛇行しながら歩いている。

公園につくと・・・

私たちはベンチに陣取った。

プシュッ

と缶ビールのプルタブを引き起こす。

乾杯・・・

顔を真っ赤にした彼にビールを持たせ、飲ませる。

彼は完全に出来上がっているのか・・・

わけのわからないことを喚き散らしていた。

おそらく彼の戦略であろう。

早朝の公園は散歩をする者や運動をする者、犬を連れているものが思ったよりも多い。

一緒にいる私に恥をかかせることで、早く帰ろうとしているのだ・・・

負けるものか・・・

そして、そんな手には乗らない。

彼が捨て身であることは十分理解している・・・・

狂人を演じている彼が、近所の知り合いに会った時のリスクも大きい・・・・

そして、一緒にいる私も狂人の仲間と思わせることで・・・・

私の羞恥心を刺激するつもりなのだ・・・・

私は平静を装って、ビールをあおりつづけた。

通りがかりの老人が喚く彼と私を見て、世も末だという表情をしている。

残念なことに否定する材料はひとつとしてない。

それでも、私は彼に午前5時に私に電話をするリスクを知ってもらいため、とことん酒に付き合いつづけた。

このあと、塾の講師をしている彼は生徒の父母と面談があるらしい。

私はお構いなしに彼にビールを勧めつづけた。

彼は「なんだってこんなことになってしまったんだろう」という哀しげな表情をしながらビールを飲みつづけた。

時刻は午前6時半・・・

私たちはビールを飲みつづけていた。

しかしその頃から・・・

なにやら老人の集団に私たちは囲まれ始めた。

言い知れぬ恐怖にみまわれる。

なんだ・・・一体何が始まるというのだ・・・

老人達は日本の未来を憂うような表情をしながら・・・・

ベンチに座る我々を取り囲んだ。

一瞬、脳裏に・・・

老人達に私刑に処される20代男性2名死亡!!

という新聞記事が思い浮かぶ。

彼等は私たちを囲む輪を徐々に縮めていった。

じわじわと恐怖心がわいてくる・・・・・

そして・・・・

我々を完全に取り囲んだ老人たちは・・・・・・・

皆で太極拳をし始めた。

老人の華麗な舞いに囲まれて飲む早朝ビール。

酷く疑問を感じたが、私は優雅なひと時だと決め付けることにした。

そして、時刻は午前7時・・・

変化がおきた。

老人の一人が持ってきたラジオから・・・

ラジオ体操が流れ始めたのだっ!!

その瞬間・・・・

太極拳をしていた老人達は・・・

それこそ軍隊の合図のように・・・

一斉に一糸乱れずラジオ体操をし始めたのだ。

すごい・・・

彼はビールを飲みながら、相変わらず何かを喚いていた。

私はその口にビール瓶を押し付けて黙らせると・・・

老人達の輪をすり抜け・・・

WC(ワシントンクラブ)へと向かった。

そこで用を足し・・・

ベンチに戻ると・・・

そこにビールを飲んでいるはずの彼の姿はなかった。

勝った。

私は見事彼の嫌がらせに打ち勝ち、勝利することができたのだ。

私は満足そうに頷くと、自宅へと向かった。

自宅前を高校生が通学する頃・・・

私は床につく。

そんな駄目な自分に陶酔しながら・・・

私の意識は眠りの世界へと落ちていった。

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