誰だってローカルの条件戦より、有馬記念でトウショウボーイに乗る方を選ぶはずですが、中島啓之という騎手は後輩の馬を取らない男だったのです
破竹の勢いで皐月賞まで制したトウショウボーイが日本ダービー、札幌記念と連敗してしまった時、とうとう陣営は池上騎手を降ろすことになった
トウショウボーイは菊花賞までは福永洋一騎手で凌いでいたのですが、有馬記念に出る時になって「以前から僕はエリモジョージに乗ることになっていましたから」と福永騎手からフラれてしまう事態になってしまった
そこで馬主の藤田さんが目を付けたのが同郷の中島啓之騎手だったのですが、中島騎手は「有馬と同じ日に中京で条件戦に乗ることになっているから」と断った
実は中島騎手は「後輩の池上がいったん失った馬に俺は乗れない。取ったら池上に悪いよ」が真意だったに違いありません
誰だってローカルの条件戦より、有馬記念でトウショウボーイに乗る方を選びますから
そんな経緯で騎手が決まらなくて困った藤田さんが、突然、僕のところへ電話してこられたんです
もちろんその時は僕と藤田さんは面識がありません
「なぜ僕に?」と面喰いながらも、「以前のように、池上君ではダメなんでしょうか」というと
「私もそれでもいいのだが、先生をはじめ周囲が許さないんだ。騎手の世界って意外に難しいんだねぇ」という返事
こりゃもう関東の騎手じゃダメだと思った僕は、「武邦彦はどうでしょう。関西では一流ですよ」と提案したんです
藤田さんは「タケクニヒコねぇ…、とにかく先生と相談してみるよ」と、電話は切れました
そういういきさつがあって2度の有馬記念でのトウショウボーイ=武邦彦騎手のコンビは決まったのです
その経緯を武邦彦調教師はどうも未だにご存知ないらしいけどね 大川慶次郎
ご存じ競馬の神様と呼ばれた予想家。
予想家としては通算4度パーフェクト予想を達成した。
亡くなる直前に有馬記念でグラスワンダーの優勝を予想していたのを記憶に残っている。
上記は乗り替わりのコメントについて。
大川慶次郎氏のエピソード。
まあ、今では考えられない義理と言うか人情と言うか・・・
そういったものを感じる。
古き良き時代の名残だろう。
最近じゃ、勝っていても降ろされたりとか平気であるしな・・・・
ストイックの成果主義になっていることは否定できない・・・・
若手の騎手が馬の力で勝っても次走から騎手の乗り代わりでチャンスを与えられない・・・・
最近は本当に厳しいと思わされる・・・・・